M&Aとのれん償却
パッとしない天気が続きますね。
先日、国際会計基準審議会(IASB)がのれんの定期償却に関する検討に入ったとの報道がなされました。
個人的には、のれんは年数はともかく償却すべきだと思っているのですが、IFRSで償却することになったらソフトバンクなんかはどうするんでしょうね・・・
これに関し週刊エコノミスト2018年10月23日号で記事が書かれていました。 その中で会計評論家の細野祐二氏が以下のようにコメントしています。 「IFRSを採用する企業では、経営者が無謀なM&Aに走るリスクが伴う。そのブレーキ役が本来、監査法人や取引銀行だが、機能不全に陥っている。すなわち、1年間に数億円単位の報酬をもらう監査法人には、M&Aを止められない」。
これを読んで自分は違和感を感じたのですが・・・
簡単に言ってしまうと、企業が被買収企業をいくらで買うのかはあくまで経営判断であり、監査法人にはM&Aについての助言や提言はできますが、M&Aを止めるまでの権限は無いはずだからです。
もちろん、違法な手法で買収をしたり、会計ルールに反した方法で買収を行おうとした場合は監査法人は全力でM&Aを止めにいかなければいけません。
しかし、適法にM&Aを進めていった場合、最終的に買収価格を決めるのは経営陣です。経営陣が決めた買収価格を監査法人がひっくり返すことができるわけがない。そんなことしたら監査法人が経営判断・企業経営をしていることになってしまうからです。
もちろん提言・助言はできるので、 「この買収価格は高すぎやしないですかね」とか 「将来的にこの企業こんなに儲かるんですかね」 くらいは言えます。でも、監査法人が 「この買収価格はありえない。こんなの認められない」 とは言えないと思います。
繰り返しますが、買収価格自体は経営判断だから。
もちろん、助言・提言の言い方でM&Aにストップをかけられる可能性はあります。
が、なかなか難しいのではないでしょうか。
週刊エコノミストを読んで、報酬を数億円もらっているからM&Aを止められないと言うのは違うんじゃないかと思った次第です。